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Mommy/マミーのyumeayuのレビュー・感想・評価

Mommy/マミー(2014年製作の映画)
4.0
これってハッピーエンド⁉︎ バッドエンド⁉︎

ずっと気になっていたグザヴィエ・ドラン監督作品を初鑑賞。
もっとアートっぽくて小洒落てるかと勝手に思っていましたが、難しいテーマながらもすごく観やすく、それでいて稀代のセンスを感じさせられる作品でした。

何と言ってもびっくりしたのが画面のアスペクト比。
なんと1:1の真四角。テレビのアナログ放送みたいな感じ。
この小さな画面いっぱいに母ダイアンと息子スティーヴが感情をぶつけ合う姿が映し出される。
最初こそ戸惑いと違和感があったけど、余計なものを排除するポートレートかのように、ググッと登場人物の心情に寄ったこの演出に知らず知らずの間に引き込まれていた。

そして、更にびっくりしたのが、スケボーに乗ったスティーヴが力いっぱいに両手を広げると、それに合わせて画面が横に広がること。
この何とも言えない開放感が気持ちいい。
そしてバックに流れているのがoasisの「wonderwall」‼︎
自分もスティーヴと同じ年頃にめっちゃ聴いてた‼︎ これだけでもう最高‼︎

さて、親子の絆を描いたこの作品。
夫を亡くした母ダイアンと、ADHD(多動性障害)の息子スティーヴは事あるごとにぶつかり合うが、お互いを心から愛しているのは間違いない。
しかし、どうしても経済的にも社会的にも弱い立場である2人(お向かいのカイラも含めると3人)は、何とか支えあって暮らすのが精一杯な状況。
強い絆で結ばれた家族ではあるが、互いに依存し過ぎている関係でもある。

ダイアンにしてみれば、障害のある息子を責任持って育てるのが親の役割と考えるのは当然だろう。
しかし、その一方でいつまでも親に頼るのではなく独立してほしいと思うのも親の願いだろう。
ラストのダイアンの非情とも言える決断は、一見無責任にも思えるかもしれないが、そんな親心によるものだったと思いたい。

これからも問題は山積みだし、何も解決はしていない。今はまだまだ悪い状況だけど、未来へ向けた希望だけはなんとか繋ぎ止めた。
色々な捉えかたができるラストシーン…。
前向きなバッドエンドと思いたい…。
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