"オリバーの巣"
前作『プロミシング・ヤング・ウーマン』で長編デビュー作ながらアカデミー賞脚本賞を受賞し、脚光を浴びたエメラルド・フェネルの新作。
まあ何と言っても、主人公のオリバーを演じた主演のバリー・コーガンの存在感がヤバい。
『イニシェリンの精霊』や『聖なる鹿殺し』などでも印象的な役を演じていたが、それらが霞むほど強烈なインパクト。何考えてるのかわからないし、とにかく気持ち悪い。
序盤はスクールカーストの上位にいる上流階級の生徒フェリックスへの憧れによる行動だと思いきや、フェリックスの一家が所有する広大な屋敷があるソルトバーンに招待され、一緒に夏休み過ごしはじめたあたりから、だんだんと行動がエスカレート。
オリバーのフェリックスへの想いは最高潮に達し、憧れや愛情、嫉妬といった様々な感情が入り乱れる。
フェティシズム的でボーイズラブ的な描写が続き、しまいには風呂の排水口を舐めたり、アレをアレに突っ込んだり、全裸で踊り狂ったりと想像を超える奇行の数々が描かれる。
オリバーの屈折した感情を描いたラブストーリーともとれる本作。全てはバリー・コーガンの怪演があってこそ。
まさにバリー・コーガンのプロモーションとも言えるほど、彼ありきの作品だった。
