"だが不合格です"
主演のミア・ゴスが二役を演じて話題となった前作『X エックス』の前日譚。
ミア・ゴスが特殊メイクを施し演じた老婆パールの若き日を描き、いかにしてシリアルキラーへと変貌したかが明らかにされる。
とにかく本作を120%楽しむのであれば、前作『X エックス』の視聴はマスト。
若きパールとその家族が暮らす屋敷を見るだけでテンションがあがる。
桟橋や納屋など、前作でも印象に残るロケーションが再登場するなど前日譚らしく、繋がりを感じさせるシーンが見られる。
つまりは、それだけ長い年月のあいだパールは地元から逃れられなかった事を示しており、抑圧された暮らしをしていたかを想像させる。
女性が夢を追うことも、己の意見を主張することも許されなかった時代。母親には厳しく育てられ、思うままに生きられないパールは「私は農場で暮らしすのは似合わない」とダンサーへの憧れを語るが、実際はまるで地に足がついていない世間知らずな女の子。無論、世間はそんな甘いものではなく、抑圧された感情や夢破れた悲しみが爆発してしまう…。
まさにミア・ゴスの独壇場とも言うべき本作。
本作における彼女の演技は圧巻であり、終盤の独白や目を全開におっ広げた満面の笑顔は強烈な印象的を残す。
正直、ホラーとしての怖さやグロさはそこまでではなかったが、ミア・ゴスの演技を見るだけでも本作の価値はある。こうなると『X エックス』で生き残ったマキシーンが再び登場する完結編『MaXXXine』への期待も高まるばかり。
