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Mommy/マミーのyuiのネタバレレビュー・内容・結末

Mommy/マミー(2014年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

重大な問題を起こしたADHDの息子を施設から引き取ることにした母親。2人で新生活を始めるも、彼には感情のコントロールが難しく、倫理観がわからないため常に気が抜けず、金銭的にも困窮しており…
そんな時近所の女性と親しくなり、3人は絆を深めてゆく。

どうにもできない自分自身のせいで母の愛がいつか失われることを恐れ、そうなってしまう前に死んでしまいたかった息子。
息子への愛と、息子からの解放を望む想い。後者ではなく、永遠に愛する故に彼を手放す母親。

互いに行き場のない絶望や悲しみ、怒りを抱きながらも、母親は息子を愛し続けたい想いを貫き、その末に決断し、息子は唯一求める愛が永遠であって欲しいと願う、それぞれの愛と憎しみは相反するようで繋がっている。
愛しているからこその痛み、苦しみ。
しかし愛だけがそんな2人を意味ある瞬間に導くのだった。

辛ければ辛いほど激しく浮かび上がり、焼き付く愛の輪郭を決して振り払えない親子の姿に、焦燥や見苦しさ、目を背けたい気持ちが染み渡り胸を焼いた。それなのにどこまでも綺麗で、愛しくて、持て余すほど強烈な想いが溢れてたまらなかった。

世界が美しくとも醜くとも、ただ愛すべきだ。
真四角に切り取られ圧迫された世界でも、果てなく広がる自由な瞬間があって、そんな人生を愛するべきだ。
涙はいずれ乾くだろう、苦しみさえも愛故ならば。
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