なんて真摯に一日一日を生きてこられたのだろう。
沖縄で生まれ、内地で戦争を体験し、戦後の混沌を生き、そして日本に絶望して、自分に絶望して、日本を抜け出した文洋さん。南ベトナム政府軍・米軍に従軍して、戦渦のベトナムへ。戦場カメラマンとして、銃弾が飛び交う中で、凄惨な戦場を記録した。自らを「侵す側」に属していると思いながら。まるで、生死をかけて兵士が機関銃を連打するように、シャッターを押し続けずにはおられなかったという。
穏やかな表情で訥々と語られる文洋さん。しかし、20代の4年間を苛酷な戦場で過ごし、帰国後は沖縄が抱える闘いや、枯れ葉剤の影響を記録し続けてきた文洋さんが、心に抱えた痛みはどれほどのものかと思うと胸が詰まる。
暮らしを脅かす、多大な負担を押しつけられ続けてきた沖縄。自国の問題でありながら、傍観すらもしてこなかったのではないかと、鋭く問われた。「ハンナアーレント」よりも、「アクト・オブ・キリング」よりも、「消えた画」よりも、ぐっと我が身の問題として胸に迫ってくるドキュメンタリー。