アキラナウェイ

テロ、ライブのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

テロ、ライブ(2013年製作の映画)
3.0
ラジオアナウンサーがテロの脅迫電話を受け、事件解決までをほぼリアルタイムで描く。

韓国のテレビ局SNCからラジオ局に左遷された元国民的アナウンサーのユン・ヨンファ(ハ・ジョンウ)は漢江にかかる麻浦大橋を爆破するという脅迫電話を受ける。いたずら電話だと決めてかかるヨンファだったが、その後直ぐに窓の向こうで橋が爆破されてしまう—— 。

人の命より視聴率
人の命より出世欲
人の命より犯人逮捕

主人公含め、碌な奴が出てこない。

犯人との会話をテレビで独占放送出来ると息巻くヨンファは、警察に通報しようとする者達を叱責する。

この、初っ端で挫けてしまった。

ヨンファがその後の何やかんやで改心していく様が映画としてはドラマティックではあるが、人命より視聴率や出世欲を優先させた彼の初動が気になって、主人公として好きになれない。

報道に携わる者がこんなんでいいの?

ラフな格好のラジオのパーソナリティから、スーツに着替えたキャスターへと"変身"するヨンファの変わり身の速さに呆れてしまう。

そこに一切の迷いがなく、パニックにもならず、トイレで髭を剃る主人公にリアリティも感じない。

イヤホンに取り付けられた爆弾の緊張感や、続けての爆破予告…。手に汗握る展開に、それなりの面白さは確かにある。

崩壊する橋、ビル。

局内に限定されたワンシチュエーション劇でありながら、きちんと大掛かりな破壊映像で魅せてくる。

しかし、主人公もまた収賄の容疑者であり、結局の所、彼がどうにもこうにも胡散臭過ぎて、最後まで気分はノれずに終了。

テーマとしてはたった一言の"謝罪"。

この映画に携わられた方…

「こんな作品を作りましたが、実際の報道関係者は、非常時には人命を第一に考えています、すみません」の一言が、僕は欲しい。うそうそ。冗談だけど。

エンタメとしてもっと楽しめたら良かったと個人的に反省。