Dumbo

アルゲリッチ 私こそ、音楽!のDumboのレビュー・感想・評価

3.6
前情報無しで、録画していたのを観たので、
ドキュメンタリーとは思わずに観ていて、
なんかホームビデオっぽいなぁと思ったら、
実の娘が撮って、
監督もしているドキュメンタリーだった。

今世紀最高のピアニストと言われている
マルタ・アルゲリッチの素顔と人生。

監督は娘のステファニー・アルゲリッチ。
娘だから、
偉大な芸術家だけど、彼女にとっては母親。
だらしないところも、タバコをふかす姿も、
寝起きの素顔も、
身内ならではの距離の近さで、
隠すことなく撮っている。

舞台に出る前はいつもナーバスになって、
出たくない、弾きたくない…って、
不機嫌になる。
そんな、隠したいような姿も
見せているのがすごいね。

父親が違う3人の娘がいて、
愛にも自由で奔放な母であるアルゲリッチ。
芸術家ならではなのか…
同じ母親としては…
というか凡人には…
理解しがたいくらいの自由人。

「音楽との関係はいつも新しい。愛と同じね」
とマルタは言う。

そんな奔放な母親だからこそ、
娘にとっては
複雑な思いもたくさんあっただろう。
ステファニー監督自身が母親になったことで、
もう一度自分を見つめ直し、
母と向き合うために作った
ドキュメンタリーのように思う。

だから、これは、
偉大な音楽家の
音楽を主題にしたドキュメンタリーではなくて、
家族の再生がテーマのような気がする。


「私の人生は母を追い続けるために
  あるのだろうか
 優しいが強固な母の縛りに
  私はあらがう
 逃げ出せても、またつかまる…」
(ステファニー・アルゲリッチ)

原題は『bloody daughter』
いまいましい娘

この原題は、娘であるステファニーの
母親に対する気持ちを
客観的に上手く表している気がして、
私は原題の方が好きです。



実はこれ、パヴァロッティを観るよりも前に観たんですが、同じドキュメンタリーのパヴァロッティの感動が強すぎて、かなりこちらが霞んでしまいました💦
そのためなかなかレビューが書けず、かなり遅れての投稿になりました…
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