べーた

海街diaryのべーたのネタバレレビュー・内容・結末

海街diary(2015年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

半年ほど前からAmazon primeにあって、ずっと見るタイミングを伺ってた作品を、しっかり準備(コンディションと時間の余裕とお菓子。笑)を整えた上で観ました。

鎌倉の海沿いの一軒家で、特有の家庭事情を抱えた4人姉妹が共同生活する様子を描いた、刺さるほどおしゃれな物語。

鎌倉が舞台とは聞いていたけど、極楽寺周りの江ノ電沿線の小地域が生活の中心にして描かれていて、通った道や訪ねたコンビニが実際に出てくるのは単純に嬉しい。
お洒落な映画の登場人物になれる気がしてくる。

そして始まるまで知らなかったのはそのキャストの豪華なこと。
綾瀬はるかと長澤まさみはまだしも、腹違いの4女が5年前の広瀬すずなことにまずびっくり。
そして坂口健太郎に堤真一。定食屋の端で飯食ってるおっちゃんがリリーフランキーだったりするし、大竹しのぶとか樹木希林が濃厚に母や叔母を演じる姿にはやはり圧倒されるものもある。

でもその俳優のネームに呑まれない、ゆっくりと流れる世界観が「海街diary」の持ち味だと思う。
築年数の経った大きな戸建ての家で営まれる丁寧な暮らしが雅で理想で、こうやって暮らしたい。毎年庭の梅を瓶詰めして作り置きする梅酒や、和紙を切り貼りしてお直しする障子とか、花火をする時にそれぞれの浴衣がすぐ取り出せるような生活。
カマドウマはご遠慮するけど。

複雑も複雑な家庭環境と向き合いながら恋愛をしていずれの家族の作り方を手探りする4人それぞれの模様が大きいテーマとなってるけど、姉妹の中での生き辛さや仲の良さが近くで見られるところが良かった。

一人だけ違う母から生まれた中学生の四女(すず)とは一番年が近くて自分の世界を持ってる三女(ちか)が気遣い無く遊べる描写が好きだし、ずっと責任を一人で抱え込みがちなあまりにも長女気質な長女(さち)の家離れの意思を、ちゃらんぽらんな次女(よしの)が背中押す場面がとても好き。
ここで幸は家を離れるべきだったと思うけど、家庭環境に依って育った性はどうしても人を縛るものだから仕方がないかもしれない。

他にも扱ってるテーマや語りたい場面はたくさんあるけれど。
二宮さんのお葬式のあとに喪服で砂浜を走る4人を見て、良かったなあと思って終われる気持ちよさが全てを表現しているような。
場面一つごとに、たとえハッピーとは呼べない展開であっても、ええなあとか綺麗やなあと思わさせられる空気感と絵が絶え間なくおしゃれな作品でした。

意外と是枝作品ははじめてで、キャストとかにぽさが全開だけれどとても好きだったから、また他のものも少しずつ見て行こうと思います。

酒を飲む長澤まさみがタイプすぎるけれど、今作の優勝は意外と夏帆さんかもしれない。
べーた

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