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虐殺器官のpikaのレビュー・感想・評価

虐殺器官(2015年製作の映画)
3.0
原作を読んだので見てみた。母親の話と悪夢はオールカットされている。入れちゃうと2時間で収まらないからだろう。そのためかオチがカットされている。
アレックスのくだりは改変の方向性的には機能しているし上手いと思う。列車のシーンの改変もシーンの省略に繋がっていて良い。
カットと改変は映画単体で見た時に、ドラマの整合性としては良くまとまっているのでアリだと思うけど、レビューに散見される不満が表すように、原作のテーマが歪められてるっつーか失われていると言ってもいいような具合なので、単に映像化しただけと言われても否定できない感じになってる。

ただそれら不満点を事前に知り全く期待しないで見たので、戦場シーンが良かったことや声が良かったことなどから見たいもんを見れた満足感はある。ファミレス行って普通に美味しかったみたいな。

喋りっぱなしな内容も、これだけは最低でも残さねば原作が崩れるギリギリの量があの台詞の量であることが表しているように、そもそもが対話(と心理劇)のドラマだからしょうがない。変な風景映像や過去再現映像めいたのを入れずマジで対面の表情だけで見せたのは英断か予算の関係か。小難しい内容を頭に入れるためには映像の情報量は少ないほうが集中できるだろう、としたら映画化した意味は?ってなるけど笑

原作既読の人が見ると原作のエンディングを示唆するカットが入ってるのでちゃんと脳内で補完ができる。が、未読の人には辿り着けない。そこがどうなんだろう。この映画自体の存在意義にも引っかかってくる。
原作既読の人は未読で見た人に「こんなんじゃないんだよ!!もしだったら是非原作読んでみてー!」とオススメしたくなるような、原作へと誘導させる広告映画であるのかもしれない。映画で終わらず原作を手に取らせる映画、それが最も作者に対して意義のある作品なのかもしれ…
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