new

虐殺器官のnewのレビュー・感想・評価

虐殺器官(2015年製作の映画)
3.8
伊藤計劃映画化プロジェクト1作目。1作目にして一番公開の遅かった作品。世界が内戦や虐殺に満ちている近未来が舞台。主人公はアメリカの特殊部隊に所属しており世界中で蔓延している虐殺を煽動している人物を追っていく。

人間の意識や意志への疑問を投げ掛けた作品だと感じました。
人間の中の潜在意識として存在する残虐性、人類という種の中の本能のようなものはあるとは思う。この作品では、それを心臓や肺等と同じ人間に始めから備わっている器官だと表現しているのが、非常に面白いです。
そして、我々が心臓や肺を強制的に止めたり抑制することが出来ないように、その虐殺器官も抑制をすることが出来ないのです。そしてそれは、言葉によって呼び起こされる。
人類には潜在的に文法を作る能力が備わっていました。これもある種の器官なんでしょうかね。潜在的に作られた文法だからこそ、人の意志を動かす事が出来たのか…。
人の心は自由なようで結局はこのような目に見えない何かによって制御されているのではないかと考えてしまいます。
シェパードの最後の行動は自らの意志によって決めた行動だったのか、、
すでに虐殺に汚染されており、操作された意志なのか、、

近未来の世界の描き方も妙にリアルでした。戦闘も銃等の現代兵器を使いつつ、透明迷彩のような近未来兵器も使った戦闘で見ていて引き込まれる。

終わった後にも、じわじわ考えさせられる作品。原作も読みたいな。
new

new