MASH

シン・シティ 復讐の女神のMASHのレビュー・感想・評価

シン・シティ 復讐の女神(2014年製作の映画)
3.5
初めて観た時は原作や1作目を愛しすぎていたあまり、今作の内容に納得できず嫌いな映画だった。だが、改めて観直すとそのスタイルやビジュアルにはやはり目を見張るものがあり、十分シン・シティの世界を堪能できたと言える。ただ、やはり前作で原作の名エピソードを使ってしまったというハンデは感じてしまう。

原作にもある「A Dame To Kill For」は言わずもがなのクオリティ。個人的に前作のクライヴ・オーウェンはドワイトに見えなかったが、ジョシュ・ブローリンはまさしくドワイトだ。また、このエピソードでの色の使い方も見事だ。エヴァの真の目的が分かると彼女の目が緑色になる。嘘をつく女というのを視覚的に表した前作から引き継がれている演出だ。原作からのモノローグのチョイスもバッチリだし、アクションのバカッコいいのも含めて非常によくできている。

ギャンブラーを主人公にした「The Long Bad Night」。原作にはない話だが、原作の良さと映画としての新しさをうまく合わせた良いエピソードだ。主人公が若造かつアクションではなくポーカーがメインという、おじさんがハードボイルドな雰囲気に浸って豪快なアクションをかます原作から離れてはいるが、それでもシン・シティらしさを失っていない。モノローグやゴア描写、そして主人公の目的。「巨悪に敵わないと知りながらも、そこに立ち向かう者」というまさにシン・シティに生きる男の話だ。

問題は「Nancy’s Last Dance」。これも原作にない話だが、悪い意味でシン・シティらしくない。ナンシーの復讐物語というコンセプトは最高なのだが、肝心のナンシーがハードボイルド感が一切ないメソメソしたキャラに見えてしまう。申し訳ないがジェシカ・アルバは復讐に燃える女には見えない。他にも何故かナンシーのモノローグが少ないことや、ハーディガンの亡霊、ロアークとの決着というのもシン・シティの世界観から離れている。

他にもナンシーの復讐となったら「That Yellow Bastard」でハーディガンがやったことは何だったのかとか、色々思うとこはある。だが、シン・シティの映画で求めるのはそのスタイルや映像感であり、内容自体はそこまで問題でもないのかも。少なくとも全体の2/3は僕が求めているものだったし、残りの1/3も決して悪いわけではない。1作目の世界観や映像に惹かれたのなら十分観る価値ありの作品だ。

2回目 3.5点
(2021年1月27日 Blu-ray)

1回目 2.5点
(2016年4月24日 Blu-ray)
MASH

MASH