クロフネ

アイアムアヒーローのクロフネのレビュー・感想・評価

アイアムアヒーロー(2015年製作の映画)
4.0
劇場で2回鑑賞
 まず主人公の設定や性格にとても感情移入しやすいのが良い。
夢もあり努力もしてるが報われず、
一応仕事があるが周りからは一切評価はされず、
彼女もいるが仲は最悪。
その過程で、鈴木にはカッコつけ妄想癖があり、自分も描いた漫画も普通で、
同期の漫画はロレックスを着けている。

 冒頭で他に良いのは、ニュースの使い方。
話を進めていくと同時に、現在の日本でどんな奴が何をして、
どんな事が起きているのかをBGNとして観客に教えてくれる。
また、鈴木が家から追い出される際に、銃に関する法律や、
神社で比呂美といる時に、「淫行で捕まるぞ」と言ったりして、
鈴木を普通がゆえに一般的な良心と常識を持っているように描いている。

 銃と共に追い出されてからのパンデミックもテンポが良い。
この映画で最も大事と行っても過言でないZQN描写もOK!
作中最初のZQNのテッコの顔面や明らかに人間離れした動きなども良かった。
仕事場でZQNで見た目と凶暴さを見せてから、街中で一気に登場させて、
誰もが「気持悪い、怖い」と思えるように不気味でグロテスクにしているのにも大満足。
仕事場から逃げて、
歩き→駆け足→ダッシュと鈴木の足の動きと事態の状況を同期させていることの上手だと思った。

 そして、
冒頭から匂わせいる鈴木が所持している銃の溜め方が素晴らしい!タクシーに乗る直前、
屋上で伊浦に対してや撃つべきタイミングはいくつもあったのに、
常識や臆病で撃てずにいたが、
いざ撃つと決意してから初めて撃つところのカタルシスは観客の気持ちを一気に持ち上げてくれる。
その後の地下のロレックスの布石や、
撃ちまくりも凄くかっこいい。

 最後に、主演の大泉洋の演技が特に素晴らしかった!
有村架純に長澤まさみと強力なダブルヒロインがいるにも関わらず、
圧倒的な存在感を見せていた。これがもし、人気のイケメン俳優なら、
演技が良くても感情移入もできずに、物語に集中できなかったはず。

 しかし冒頭の軍用ヘリはともかく旅客機はやりすぎ。
長澤まさみの男勝りキャラも原作がそうであるが、
「~だろ」など、美人が使う男言葉はちょっと違和感がある。
あるキャラが死ぬ際もまだ周りにZQNがいるのだから、ギリギリまで倒してから、
自殺してもいいんじゃないか?
また、金無しの漫画アシスタントならスマホは持てないんじゃ?
 と、言いたいこともちょこちょこあるが、
そういうのを踏まえても、きちんとR指定を受けて、
血みどろでZQNの首、手足を引きちぎるのもいれて、
鈴木によるZQN大虐殺も最高にカッコよかった!!
日本映画でここまで楽しいゾンビ映画はかなり珍しいと思うので、
ぜひ続編を作ってほしい。
クロフネ

クロフネ