サンヨンイチ

シェフ 三ツ星フードトラック始めましたのサンヨンイチのレビュー・感想・評価

3.7
面白かったですが、
邦画タイトルやポスターでのネタバレが凄く、想定していた映画的展開よりも小ぶりになってしまいました。
ただこの映画の作風としての身軽さを意識しているのだとすれば、
ある程度抵抗感は下がりますし、全体的に雰囲気はよかった作品です。

一流レストランの料理長を勤めるキャスパーは普遍的な料理とそれを出し続けるオーナーへの不満を持ちながらも働いていた。
店に現れた批評家の容赦ない批判はツイッターで拡散され
その後のレスバトルを機にレストランをやめてしまう。
地位も名声も金も失った四面楚歌の主人公は、すべてをかけて移動車式販売店のフードトラックをオープンさせる。仲間や家族と共に再起を誓う男のロードムービー。

すべての料理が美味しそうなのですが、特にフードトラックで売っている料理の数々。
ジャンクで片手にもって食べられるような料理が並ぶので、この映画を観ている『今』、食べたくなる。
映画館でホットドッグとか食べながら観たら最高でしょう。
野外上映会とかやればいいのに。


子供との接し方が変わっていく様が見もの。
序盤は通過儀礼がごとく、遊園地に連れていったりして、子が楽しめれば十分、みたいな父親を演じる父親。
しかし次第に料理を通して、楽しいと思えることに必死で打ち込むこと、人のために自分ができることを精一杯尽くすことを子へ受け継いでいきます。

焦げた料理のシーンが印象的です。
親子でもあり師弟でもあるという関係は
スキルだけでなく、大切なことを教えることができると思います。

私自身も親から野球を教わっており、
もっと子として良き弟子であればよかったと後悔することがあります。

自分が父となったとき、何を教えられるのか分かりませんが、
キャスパーや私の父のようになりたいなと思いました。