何となく観たら意外に良くてとても満足。
アカデミー賞受賞作品。
安藤サクラの本領発揮、独壇場。
主人公・一子はニートだったが、あるとき社会へ一歩出ると、耐性がないこともあり、あっという間に心身ともにぼろぼろに。
しかし、家での様子だけではただ乱暴で身勝手な人間に見えたが、一人暮らしを始めてからはとても弱く、不器用で、優しいところもあり、実は意志が強い面もあることが判明する。
人間、一つの面だけではなく、どうしようもないように見えても様々な面を持ち合わせているのだなと気付かされる。
「いい歳して自分には何もないことに気付いて云々……」というジム会長の言葉は、ボクシングに限ったことではなく、大人になってスポーツを始める人全般に、または始めない人にも言えること。
だから、仕事以外のなにかに打ち込むって悪くない。
入場曲の選曲に対して一子の言葉が良かった。
一子はそれまでの傲慢を捨て、自分のちっぽけさを知り、謙虚さを得た。それはとても偉大なことだと思う。
エンディングテーマがとても良い。歌詞に注目。
どん底から、バリバリと戦う女になり、自立していくことを思わせるが、最後、手を引かれる場面は、え、また戻るの?という拍子抜け感が少々あった。
結局、結婚させて主婦にしたいのか、と思わせる。
ただ一子は手を引かれるときわずかに拒否したようにも見える。
この後、一子には立派に自立した女性になってほしい。
爽快で、ああ映画を観たなあという満足感がある。