オリカ

百円の恋のオリカのレビュー・感想・評価

百円の恋(2014年製作の映画)
4.5
正直、何も期待せずにボーっと観始めたのだけど、意外にも良かった。
百円の恋なので、恋愛ものかなぁくらいの認識だったのだけど、これは恋愛ものではない。
恋愛ももちろん関係しているけど、これは生きることをテーマにした映画だと思う。
(少し大げさかもしれない…)

まず、ひきこもりのアラサー 一子の堕落っぷりに驚いてしまった。
甥っ子とゲームしながら背肉をボリボリ、お菓子と炭酸飲料を流し込み、ヨレヨレになった寝間着?(いつ洗濯したのか心配な感じのやつ)で、一切やる気のない態度、歩き方…全てが末期…。
それに対してブチ切れる妹の気持ちもわかる。なんだかんだ甘い母親、どこか他人事な感じの父親。
こんな家族って日本中どこにでもいるし、誰しもが一子ほどではなくても、一子のような一面を持っていたりするから妙に親近感があったし、応援したくなる。
そんな一子が色々な痛い思いをしながら変わっていく姿がとてもかっこよかった。




-----------以下ネタバレ-----------







まず登場人物がいわゆる底辺と言われている人達なのだけど、底辺というか性格がクズだったりクセが強い。
個人的にはこの登場人物達によってクスッと笑えるシーンもあったので嫌いではないです。
最初の店長は良い人っぽいけど、イマイチ何を考えているのかわからない。話している途中で「無」になってたり。
語彙力がなくて「マジっすか?」しか言わない若い従業員もいたり。
賞味期限切れのお弁当を毎日取りに来るおばちゃんと二代目店長との戦いも面白かった。
(なぜかうどんがお気に入りだったりして…)
あと、おしゃべりが止まらないおじさん。この親父だけは絶対に許せないのだけど結局警察には捕まってないのかな…
とんでもなくウザい人だったけれど、この映画にとっても一子にとっても重要人物だったとは思う。
(いつか一子と偶然街で出会ってボコボコにされて欲しい・笑)

元ボクサーの狩野(バナナマン)はイケメンではあったけれど、中身がどうしようもなくて残念だった。
(バナナを忘れる癖があるのはちょっと笑える)

一子が狩野に捨てられたことをきっかけに、本格的にボクシングに打ち込むようになる姿が本当にかっこ良かったし、心から応援してしまった。
どんどん動きが良くなって体も引き締まっていくのはさすが女優、、、すごい。
ラストはボコボコにされてしまったけど、
一子も「一度で良いから勝ちたかった」って泣いて悔しがってたけど、
もう勝ち負けとかどうでも良いくらいに、一子は生まれ変わっていたし、また堕落した生活を送る時期もあるかもしれないけど、頑張れる自分を知れたことは大きいのではないかと思えた。
とにかく安藤サクラという女優のすごさを突き付けられた映画だった。

あと、一子が風邪をひいて、狩野が焼いた巨大ステーキを食べるシーンは笑ってしまった。
(体調悪いのに巨大ステーキってのも笑えるのだけど…)
なかなか噛み切れなくて割りばしが折れてるのが可愛すぎた(笑)
オリカ

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