いののん

突破口!のいののんのレビュー・感想・評価

突破口!(1973年製作の映画)
4.2
監督はドン・シーゲル。分かります!ダーティ・ハリーの監督です!


面白い!
少額をいただく銀行強盗でよかったのに。どういうワケか超大金をいただくことになっちゃって。モチロンそれはヤバいダーティなお金である訳で。そしたら当然、ヤバい人たちに追われることになる訳で。そしたら逃げなくてはいけない訳で。せっかくの超大金も失いたくない訳で。ワケがありあり。


「用心しないからだ」
やらかした相棒に対して、ウォルター・マッソーは、そう言い放つ。そう言い放つ彼は、じゃあ、どこまで用心しているのだろう。それは観ながら、計り知るしかない。「サブウェイ・パニック」では、地下鉄ジャック犯を追い詰めた彼は、今作においては、銀行をジャックした側だ。冷静で冷徹で知的で、でも熱くて、面白い。不思議な人。きっと遠くまで見通せる人。どのあたりまで見通して、どのあたりまで計画していたのか。観る側はそれを、観終わったあとも考えて、反復することになる。
「ダーティ・ハリー」で殺人鬼スコーピオンを演じたアンドリュー・ロビンソンがどう動くのかも、スコーピオンを知っているとなおのこと、ハラハラする。


様々な仕掛けや会話が、あとから効いてくる。70年代の映画って、面白い!乾いたような、さっぱりしているような、そして、そのなかにある、味わい深さ。ウォルター・マッソーが度々口に放り込んだガムは、きっと噛めば噛むほど味が出て、もしそれが風船ガムだったとしたら、空を宙返りできるくらいにふくらむのかもしれない。
いののん

いののん