Inagaquilala

チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.9
「エクス・マキナ」と「ジェイソン・ボーン」で注目していた女優、アリシア・ヴィキャンデル主演の作品。アリシアについては、「ヴィキャンデル」ではなく、「ビカンダー」と表記する場合もあり、後者だといちいちこの女優さんの持つ雰囲気とは違うような気がする。やはり「ヴィキャンデル」というのが、この女優さんにはふさわしい。舞台は「チューリップ・バブル」に沸く17世紀のオランダ。身寄りもなく、修道院で育ったヴィキャンデル扮する主人公ソフィアは、修道女になるよりは、結婚して、かなり年上の商人の妻として生きることを選ぶ。すでに壮年も過ぎようとしている夫は、後継となる子供が欲しいらしく、毎夜のようにソフィアを同床に誘う。修道院育ちで純朴なソフィアもそれに応えようとしており、とりあえず幸せな日々が続いている。

ところが、夫が自分たちの肖像画を残そうと、1人の青年画家ヤンを家に引き入れたときから、悲劇が始まる。ソフィアは若いヤンにたちまち惹かれ、道ならぬ恋へと発展する。ソフィアを演じるアリシア・ヴィキャンデルが、このうえもなく美しい。「エクス・マキナ」ではアンドロイド役、「ジェイソン・ボーン」ではCIAのエージント役を演じていたが、この作品では、若き画家にその美貌が見初められるほどの美しい妻役を演じている。この女優さんが、こんなに綺麗な女性だったとは。やがて、画家の案が、チューリップ・バブルのなかで、金銭的にはたんし、悲劇が2人を襲うのだが、危険な美しさに満ちた人妻をアリシアがどこまでも美しく演じている。ジャスティン・チャドウィック監督の演出も小気味よく、いわゆる歴史物であるのに、場面転換の妙と華麗な美術で、作品としての出来も素晴らしい。
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