岸辺の旅のYNagashimaのネタバレレビュー・内容・結末

夫婦は長いこといっしょに生活していると、自分の生活習慣の中に知らず知らずのうちに相手の存在が入り込んでくる。妻と自分の歯ブラシの定位置とか、スーパーで妻が食べるヨーグルトを毎回買うとか。そういう共同生活の積み重ねがいつの間にか夫婦の関係をつくる。だがその一方で、いつまで経っても相手のことが分からなかったり、疑ったり、腹を立てたりする。
というのが一般的な夫婦だと思うが、この映画では夫が幽霊だ。だからもう、長い共同生活で積み上げてきた身体的な繋がりは消滅している。それでも相手に拘ってしまう。繋がっていたいと思ってしまう。この旅の終りには別れが待っていることを分かっていながら、旅をする。そういう切ないところに自分はグッときた。