改名した三島こねこ

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)の改名した三島こねこのレビュー・感想・評価

3.8
<概説>

かつて『バードマン』で一世を風靡した俳優が再起をかけてブロードウェイ進出を図る。しかしいざ計画を実行してみると実力はあるが破天荒な問題児や、劇を見もせず酷評する批評家といった障害が山積みだった。

<感想>

映画を普段見ない人には一切オススメできませんが、映画にある程度慣れてきたなら必見の長回し(に見える)作品。2時間近くがワンショットからなる映像は圧巻を通り越して恐怖すら覚えます。

内容は会話劇中心なのでハッキリ言って地味。数日間のゴタゴタを主人公の内面と交互させて描いているだけなので、山アリ谷アリは期待できません。ファンタジー描写もあるにはあるのですが、それも割と枝葉末節ですし。

大まかな説明をするとこんなつまらなそうなのに、全体通して珍妙でおもしろいのはどういうことでしょう。

最初の方で主人公リーガンが空中浮遊やらかしているカットからして引き込まれる。劇中劇の展開も唐突な鮮血に笑ってしまうし、エドワード・ノートンのマイクが出てくるたびにアホらしく暴力的で愉快。

シリアスな作風の中でパンイチのオッサンがケンカする場面の違和感がないのは本当にすごい。

またマイケル・キートンは初代映画版『バットマン』の主演ということもあり、作品外の物語を読み解くのもひとつの楽しみ。題材が題材なので作品単体で論じるのは勿体無い。

バードマンと決別したのに火傷の跡はバードマンそのままなのは、イメージ元の作品にどんな意図を込めているのでしょうね。