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きみはいい子のfilmaholicのネタバレレビュー・内容・結末

きみはいい子(2014年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

高齢者の一人暮らし、小学校、旦那が単身赴任中で親子2人暮らし、ととある地域の少し何かを抱えたそれぞれの物語かと思ったけど、そんなシンプルなものではなくて...
高齢者の一人暮らしで万引きをしてしまう人。
小学校でのいじめ、クラスで他の子と同じように授業を受けられない子、家庭の事情。
教育、愛情、しつけ、虐待、暴力..どんな感情かもはやわからない母親...
ぐろいとか汚いじゃないのに、あまりに淡々とリアルで観るのがつらい場面も結構あった...
私が教師になりたくない理由がてんこもりだったし。笑 
結局他業種の人に「38人一気に見てから口出せ!」って言ってしまうんだろうな...そういったとこもリアルで...

家に帰れない男の子。叩かれるのが怖くてごめんなさいよりも先に頭をかばう女の子。どれも地域を変えたって絶対にいるし、解決していない問題だらけ。
親子パートに関しては、池脇千鶴が演じた女性が、よくあんな小さい子ども2人いる大変な時に他人の家庭の事情に感づけるな..なんて思ってたけどそれは見事なもので同じような経験者だったから。と。あーいう存在が一人いるだけできっとあの親子は救われた。
おばあちゃんもあの少年やその母親と出会ったことでお互いにいい存在になったんだろうし。
高良健吾扮する教師がもう本当に大変そうで..子役たちへの演出がすごく気になる、皆とてもリアルだった。こんな子おるおる!だらけで。
正直あのクラスの問題は解決していないし、多分全部はしないのかもしれない(女の子のいじめ、授業中トイレ問題など)。でも、先生が自分が家族と肌を触れ合わせて感じた「人にしてもらったことを人にできる子に」という宿題はとてもよかったし、子どもたちに1ミリでも何か残ったのではないかと感じたし、そうやって1つ1つ解決しようとする先生..という意味で、ラストもきっとあの家に走ってあの生徒を抱きしめてあげるんだろうな。とは思ったけどその後はわからない。殴られてる生徒がいるかもしれないし、手首を切ってるかもしれないし、お父さんと抱き合ってるかもしれないし、お母さんと逃げたかもしれない..映画として観ると綺麗な結末を求めてしまうけど、リアリティが先行して、終わりのない、もしくは単純に終わることのない問題っていう意味ではああいうラスト(映画としてとりあえず終わらせた)でよかったのかなーなんて・・
問題は明白なのに解決が難しい。ということ。

「きみはいい子」と頭をなでて言ってくれる人がいるということが大事。
しかもいつどのタイミングで誰が、というところまで...
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