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きみはいい子のwwsのレビュー・感想・評価

きみはいい子(2014年製作の映画)
3.7
世界には自分の想像なんて到底及ばない数の人間がいるのに、完璧な強さなんてきっと誰も持っていない(矛盾してますが)。
他人の些細な言動に深く傷ついて取り返しのつかない行動に及んでしまったり、心から良いと思った行いが大事な人を不快にさせてしまうこともある。
その逆で、なんの気なしの行為で深く人に感謝されたり、大切な人にひと言「ありがとう」と伝えるだけで健やかな一日を過ごせることだってある。
それくらいちっぽけな行動の無数の積み重ねを動力にして、今日も明日も世界は回っていく。そう考えると世界の動力は人の心なのかもしれないとすら思う。

この映画が言いたかったのは、もっと寛容でいいじゃないか、ということだと思う。そしてその寛容さを誤解なく誰かに伝えるには言葉ではなく行動でないといけないし、その中で最も効果的なのが“抱きしめる”ことなんだ、と言いたかったのでしょう。

COVID-19下の世界で人々が内に篭って神経過敏になる中、ますます寛容さが必要なのは間違いないのに人と接触することが制限されるなんて、こんな皮肉なことはないと思う。果たして世界はどこに向かおうとしているのか、そして私はどこに向かいたいのか。その自覚を持たずにいては、降り積もるやり切れなさに埋もれてしまうかもしれない。それほどに世界はいま息苦しい。

他者に寛容になることでしか自分を守ることすらできないのだと、この映画はそっと囁いてくれる。いま辛い思いをしている人にこそ必要な映画だと思う。
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