ブタブタ

火星の女 /夢野久作の少女地獄のブタブタのレビュー・感想・評価

1.5
夢野久作の連作『少女地獄』3篇のうち『火星の女』と『殺人リレー』が映画化されていて、あとは是非とも『なんでもない』をやって欲しいです。
『ドグラ・マグラ』が長編の代表作なら『なんでもない』は夢野久作の中・短編の傑作だと思うので。
本作は日活ロマンポルノとして制作されたものですが原作が原作だけにストーリーの再現度、エログロ等の夢野久作世界の魅力を描けてません。
何かエロにもミステリーにも振り切れてなくて中途半端。
もっとシュールに意味不明な映像・演出とか見せてくれたらカルトになりえた作品だけに残念。
出来ればロマンポルノでなくATG映画で見たかった。
シュールかつ出鱈目な物に、前衛・実験的な事をやり過ぎて訳わかんなくなればそれこそ夢野久作だと思うので。

原作小説『少女地獄・火星の女』は女学校で焼身自殺体が発見された新聞記事から始まり、この「ミス黒焦げ」を巡り様々な異様な事実が明らかになっていくもので、新聞記事と生前の主人公・甘川歌江が残した手紙によって小説は進行するS・キング『キャリー』と同じスタイルの実験小説。
『少女地獄』は何れも少女という得体の知れない存在が放つ一種のエネルギーが周囲の人々を巻き込み、自分も世界(内宇宙)も崩壊させる、今で言う「メンヘラ」「セカイ系」を既にやってるんですよね。
今『火星の女』を映画化するなら甘川歌江は今のショートヘアの小松菜奈、歌枝と愛人(アミ)になる殿宮アイ子は清水富美加がいいな~とか思うのでした。
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