Donatello

ダーク・プレイスのDonatelloのレビュー・感想・評価

ダーク・プレイス(2015年製作の映画)
4.3
闇からニュッと手が出てきて襲う…
みたいな完全にホラーな原題タイトルからは想像もつかない、サスペンスを含んだ人間ドラマなんですよコレ。

『ゴーン・ガール』のジリアン・フリン著に「冥闇/ダーク・プレイセス」というのがあるのは知っていた筈なんですけど、何故か完全に抜け落ちてて、まさかのコレの事とは思わず観てから後で知って物凄く納得しましたええ。

7歳の時に母親と2人の姉を殺され、その容疑で兄は逮捕された少女が、大人になってお粗末な発端から調べ始めるという話なんですがね。

一家惨殺や悪魔崇拝などを隠れ蓑として使い、トコトン陽動されるので、完全にホラーとして観ていた側としては「誰が悪魔に取り憑かれるんだ!ホルトか?ホルトお前だな!」とか思ってて、「あ、なんか違う」と気付いたらいつの間にかクライマックスだったりする見事なプロット。

それでもなんとなくタネは分かったりしたんですが、途中の展開はちょいちょい予想外で唸りました。
無駄に昔の民放ドラマ「眠れる森」を思い出しましたけどね。

過去と現在のシーンを絶妙に織り交ぜて、少しずつ明らかにしていく手法そのものは珍しくないにせよ、そのタイミングが絶妙で、ジル・パケ=ブランネールも『サラの鍵』の時には趣きのある監督だなぁと思ってましたが、今作はより秀逸な流れ。

シャーリーズちゃんとかクロエちゃんとかの演技も気合が入ってて凄いのですが、なにより凄いと思ったのが配役。
過去と現在のシーンがある時に同一の役が必要になった際、本人をCGや特殊メイクで見た目を変える方法とか、全然違う役者を役名で同一人物だと納得させる方法などありますが、まさか時空でも歪んでるのかと思うほどにそのまま歳をとったような役者を見つけてきてるところは驚愕です。

なんにせよホラーと思っていたのに、最後のシャーリーズ・セロンちゃんの独白など割と考えるところがあったりする、そんな色々と凄い作品なので是非ともご覧になって欲しいのですが、一部ニコラス・ホルトマニアな方々にとっては出番が少ないなど不満が出そうなので、そこら辺りは軽く目を瞑っていただけたらと思います。
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