だーすけ

レヴェナント:蘇えりし者のだーすけのネタバレレビュー・内容・結末

レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ずっと観たいと思いながらも何故か先送りにしててやっと観た。
もっと早く観ておけば良かったー!!
すごい作品だった。

そもそも寒い地域が舞台の映画が好物。
本作の舞台も北米、イエローストーンあたりの冬が舞台の寒い寒い景色がとても美しく続く。
厳しい極寒の世界をしんと静謐に捉えた映像が本当に美しくてずっとそれだけでも観ていられそう。
撮影はエマニュエル・ルベツキ。「トゥモロー・ワールド」「ゼロ・グラヴィティ」の人だったのね!!
どおりで長回しが多いわけだ!

3年連続の受賞も納得の本当にすごい映像。
これだけでも満点あげちゃう。

しかもこんなとんでもない話が実話ベースなのに驚く。

余計な台詞、難しい話が一切無い。
すごい映像と俳優達の凄まじい演技を邪魔しないようなとてもシンプルなお話。

そして、ディカプリオの演技。
アカデミーが欲しくて欲しくて何年も何年もイカれた演技やって、それでも取れなくて休業宣言までしてたディカプリオ。
本人はベジタリアンなのに生の肝臓を実際に食ったり、死んだ馬の内臓を抜いた中に入って吹雪をビバークしたり(ここから出てくるシーンは母体から再度産まれた、再生の意味に思える)、極寒の凍てついた川に落とされたり自ら入ったり、、、
そりゃアカデミー取るよね。
でも、文字通りの鬼気迫る演技だけでなく、たまに見せる穏やかな表情もあったりと、やっと取れて良かったね!

熊と戦うシーン、CGにしてはすごい熊とくんずほぐれつしてるし、「どうやってんだ?」と思ったらスタントマンがブルースーツを着て演じてたらしい。
なるほどね、それであの迫力が出るのか。

劇中のサバイバル要素がまたいい。
瀕死のディカプリオが栄養取るために動物の骨髄をほじって食べたり、吹雪を雪庇でビバークしたり、ネイティブアメリカンが木を使って簡易的なテント作ってくれたり、サバイバル要素好きの心がくすぐられた。

あと、銃の火薬での傷口の強引な治療?血止め?はランボー以来じゃない??

監督もこれが2回目、2年連続の受賞
こりゃ納得よね。

そしてこの映画、なんと順撮りらしい。
しかも雪を追いかけてアメリカ→カナダ→南米まで行って、しかもマジックアワーの一時間半だけしか撮影しないからトラブルだらけで撮影に9ヶ月もかかったらしい、、、

脇を固める役者も良くて、珍しく悪役のトム・ハーディ。ほんとトム・ハーディは大好きなんだけど、ここまで髭面でさらに頭皮を剥がされてると面影ない笑
でもここまで悪役に振り切ってくれるからこそ面白い映画になるのよね。
そして、その悪いトム・ハーディに振り回されるかわいそうな青年、ウィル・ポールター 。「最近どっかで見たなー」と思ってたら「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーVol3」にいた。

最後にエンドクレジットで気づいた坂本龍一 の名前。
癌で闘病中だったけど監督のファンだったから「これは断れない」と受けたらしい。
確かに上映中、ずっと印象的な曲が流れてたんだよな。静かな曲なんだけどね。
その静かな曲達と自然の音、ネイティブアメリカン達の祈りのようにも歌のようにも聴こえる言語、最後まで続くディカプリオの息づかい。
あの息づかいは奥さんの言葉、息子との約束を守ったってことだよね。