いよいよアレッハンドロ・イニャリトゥは巨匠の道を歩み出した。
初期の「アモーレス・ペロス」や「バベル」などでみせたお得意の群像劇は影を潜め、この作品では1人の男の復讐劇にスポットを当て、雄大な大自然をバックに堂々たる叙事詩を練り上げた。
シンプルなストーリーにもかかわらず、隅から隅まで監督の意志が張り巡らされた画面づくりは、もちろん撮影のエマニュエル・ルベツキの強力な技があったとしても、観る者を倦きさせることがない。
明らかに新たなステージへとアレッハンドロ・イニャリトゥは階段をのぼった。次回作が楽しみ。