全体的に話が湿っぽくてあまり好きではないのだが、いいところとしては、長門裕之率いるストリップ劇団との賑やかな道中。これは楽しい。それからラストの討ち入りシーンは、広い倉庫の中をカメラが縦横無尽に移動する長回しショットがいいし、山本麟一と油まみれになって組んず解れつやりあう様が、まあ『酔いどれ天使』みたいなものなのだが、非常に見応えがある。
あと相変わらず西村晁が気持ち悪い役で、さすがこういうのをやらせると抜群にうまいなあと感心。しかし終盤で再登場するシーンでの変なフラッシュバックだとか、佐久間良子が妙に苦悶するアップショットは気に食わない。沢島忠のなかではいまひとつな部類と思う。