ちろる

ニュースの真相のちろるのレビュー・感想・評価

ニュースの真相(2016年製作の映画)
3.7
2004年9月、大統領選の最中、CBSの看板報道番組60minutesで、再選を目指していたブッシュ大統領に軍歴詐称があり、ベトナム行きを免れていたのではないかと示唆するニュースをアンカーマンであったダン・ラザー氏が報じたものの、その根拠とされた文書が、実は偽造だったと判明。
これで、この番組を仕切っていたメアリー・メイプスは解雇され、ラザー氏も翌年、メインの番組だったイブニングニュースの契約更改がなされず、失意の中にCBSを去ったのだ。

本タイトルが『truth』とある通り、実際、真実はどうだったのか?
文書が偽造だったことにより、ブッシュ大統領に軍歴詐称が[なかった]ような印象が強くなる。
映画でも事実が語られることはないが、この作品自体、メアリー・メイプスの自伝を脚色した映画であることもあり、(実際はどうだったとあなたは感じましたか?)という想いが強く残される作品となっている。
反ブッシュ派である私としては、メアリーと同じくそうであってほしい、そうに違いないと言う推定有罪の気持ちで観てしまうのだが、フラットな視点で見る人、もしくはアメリカの保守派層からしたらまた違う印象を与えるのだろう。

だからこの作品の楽しみ方としては政治的視点ではなくて、伝説のアンカーマン、ダン・ラザーとメイプスの、まるで父と娘のような信頼関係に注目して楽しむのが良いかと思う。
そんな2人をロバート・レッドフォードケイト・ブランシェットが、上質な演技で魅せてくれます。

それにしてもハリウッド映画、そしてアメリカの懐の深さを感じるのは、実際の事件を、実在のメディアや人物を実名で描いている事。
これはこの映画に限ったことではなく、「スノーデン」,「ブッシュ」,「ニクソン」,「JFK 」,「バイス」,「スキャンダル」などなど実際の事件や実在の人物を実名で描いた作品も多く世に送り出していて、映画をエンターテイメントとしての側面ではなく、社会問題を提起するメッセンジャーとしての役割を果たしている部分、日本にも見習ってほしいと思います。
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