荒野の狼

日本統一5の荒野の狼のレビュー・感想・評価

日本統一5(2014年製作の映画)
3.0
本シリーズの魅力は、各回の内容が連続ドラマの1回分にみたないくらいの軽さと、反社会組織が舞台であるにも関わらず、抗争が暴力団の中だけで一般市民は巻き込まれず、アクションシーンも陰惨なものが少ないという点。そのため視聴後の後味の悪さはなく、次回作も見てもよいかなと、軽く思えてしまうところ。本作も、この傾向がますます強くなった感はある。
「日本統一5」は、山口祥行と同じ刑務所にいて兄貴分であった古井榮一が出所し、本宮泰風と対立する話。ここでは情を重視する古井と、規律・秩序を重んじる優等生の本宮が対照的。本作で、本宮は一貫して知的で感情を抑えており、それが最終版の古井との対峙で爆発するというのは、昔の高倉健の映画にあったようなパターンの踏襲。古井との闘いは、至近距離で銃を撃っても当たらず、たとえ当たっても致命傷にはならず、いわば昔のシュワルツェネッガーやスタローンの主人公、あるいは仮面ライダーのバトルに近い。銃で対決という点では、昔の西部劇を思わせ、それらと同様に抗争で何人死んでも、それが法に触れるということはない。このシリーズは、西部劇かヒーローものに近いジャンルだと理解すれば鑑賞に問題はない。本作の一番の見どころは、本宮と古井の対決で、銃での打ち合いと素手での殴り合いは互角に渡り合ったもので、これまでの本シリーズ5回の中では、もっとも内容がある。二人の直接対決の前に、それぞれの子分があっさりと倒されるというお膳立て、アクション映画のお約束通りでうまく場を引き立てている。
前作くらいから主人公たちの犯した犯罪と量刑の重さが現実に即さない(数名の殺人でも数年以内に釈放)のは気になった。前作では哀川翔が、本作では本宮が釈放されるが、前作では「腕のいい弁護士がついた」といった一応の説明があったが、本作ではそうした説明はない。更に最終盤では山口も釈放されるが、ここも視聴者を納得させる説明(あり得ないものOKなので)があったほうがリアリティがでるはずである。
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