まーしー

パパが遺した物語のまーしーのレビュー・感想・評価

パパが遺した物語(2015年製作の映画)
3.0
心身ともに病を持つ小説家の父とその娘を、2つの時代を交錯させながら描いた人間ドラマ。父親の役にラッセル・クロウ、娘の役にアマンダ・セイフライドという豪華なキャスト。

何だろう、泣きそうな内容なのに泣けなかった。どこか感情移入できないままエンドロール。
まず、1989年と2014年という2つの時代を交互に描きながら物語が進行したせいか、その都度、頭を切り替える必要があった。
また、アマンダ・セイフライドを演じる娘がセックス依存だったのも共感できず。過去の淋しさや辛さが原因なのは想像できるが、少し説明不足だった感は否めない。

良かったのはカーペンターズの『Close to you』のカバー曲。父と娘の思い出の曲として、劇中で効果的に使われている。作品のテーマとも合っていたせいか、曲が流れただけで胸が熱くなった。

不器用な父親役のラッセル・クロウはさすがの演技。発作を起こすシーンは胸が締め付けられた。同時に、娘を愛する姿にも心打たれた。男手一つで子育てしながらの執筆活動が相当大変だったことは、想像に難くない。
ラッセル・クロウはこういう不器用な男性の役が本当によく似合う。

内容や俳優、音楽といった感動できる素材が色々と揃っているだけに、個人的には何とも惜しい作品だった。できれば号泣したかったなぁ。