まーしー

牝猫たちのまーしーのレビュー・感想・評価

牝猫たち(2016年製作の映画)
3.0
池袋のデリヘル嬢3人を描いたドラマ。『凶悪』や『孤狼の血』の白石和彌監督の作品ということで鑑賞。

ホームレスの女性、シングルマザー、不倫夫を持つ女性の3人が主人公。
それぞれ思うところがある境遇なのだろう。
生活するため、子どもを養うため、女性として見られたいため……様々な理由でたどり着いたのがデリヘル嬢だということが伺える。
彼女たち3人から、仕事に対するプライドや前向きさは感じられない。どちらかと言えば否定的な言動が目立つ。

とは言え、彼女たちも生身の人間。時には客に恋心を抱く。
主人公3人が繰り返し奉仕する相手は、引きこもりの青年、S気質の芸人、そして妻に先立たれた独居老人と、こちらも三者三様。
デリヘル嬢と客の交流を描きながら、仕事とプライベートの狭間で揺れ動くヒロインたちの複雑な感情が伝わってくる。

その他、シングルマザーの子どもが気の毒で、見ていて心苦しかった。
いつまで経っても帰ってこない母親。
生活のためとはいえ、もう少し他の手段はなかったのかと思ってしまう。

デリヘル嬢のリアルと思える日常を淡々と描きつつ、用意されたちょっとした山場で味付けされた作品。
唸るほどの感動はないものの、単なる官能映画として片づけるには惜しいと思う。