ちぇるごまる

パパが遺した物語のちぇるごまるのレビュー・感想・評価

パパが遺した物語(2015年製作の映画)
3.8
予備知識なしでの鑑賞。

ソーシャルワーカーの主人公。
彼女は、子どもの頃に交通事故で母親を亡くし、以来その事故の後遺症に苦しみながらも彼女を守り愛し続けた小説家の父親と暮らしていた。
本が売れなければ金は入らない!
金が入らなければ娘とは暮らせない!
娘を養女にしたいと申し出る裕福な親族に2人の仲を引き裂かれないように必死に頑張る父親。
そんな父親が魂を込めて書き上げた小説のタイトルは「父と娘」。
けれどその直後に起きた発作が原因で彼も亡くなる…。

立て続けに愛する人を亡くした過去を持つ娘は、大人になって情緒不安定なことから、愛を求めながらも誰かを本気で愛することを拒み彷徨うように…。
そんな時に、彼女の父親の大ファンだという男性と出会い、主人公の閉ざされた心の扉が躊躇いながらも少しずつ開いていく。

過去と現在を行ったり来たりする構成が鑑賞中ややイラついたが、父親と娘の絆や現在の娘の不可解な行動の理由が分かりやすく描かれていた。
父親役のラッセル・クロウの発作のシーンはリアリティがあり怖かった。
大人になった娘の心情や矛盾した行動は、心に傷がある女性には珍しいことではないが、そんな彼女を優しく受け入れ包み込んでくれる男性の出現は奇跡といえるだろう。
彼女が仕事で、辛い経験が原因で自閉症気味の黒人の少女と向き合う様子は、その少女に自分の姿を重ね合わせ互いに癒し合っていたのかもしれないと感じた。
ラストは、主人公のその後の人生が明るくなることを予感させてくれた映画。
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