カノン

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのカノンのレビュー・感想・評価

5.0
金融業で義父の会社で働く青年。
ある日妻を亡くし、ふっつりと世界と途切れる。
自身の繕っていた?偽っていた?演じていた?無理をしていた?
それでも平穏で他人から見れば羨むようなステイタスを
まさに美しいスーツをぐしゃぐしゃに脱ぎ捨てるようにして、
そのまま加速して走り出してゆく。

こんなに複雑で、躁鬱振り切れて、
どんどん心情を変化させてゆく主人公を
丁寧に深く、観客に感情移入、共感、説得、理解させてくれるのは、
ジェイク・ギレンホールの演技力の賜物かと。
ダメな大人なのか、愚かなのか、変人か、
でも純粋な心を持ち、ジレンマを抱えていて、
やってみるしか、進んでみるしかない。
良くも悪くも、ブレーキはもうない。
そうして、あるべき運命に紡ぎあげられていくのだと。

脚本もきらめいている。
脇を固めるそれぞれにキラリと輝く心に残る、
またはズバッと転回させるセリフがある。
そして、音楽のよい。

邦題「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」は、
映画を観れば理由がわかる。
わかる、が、これはアイデア出しを投げ出した
もしくは諦めた怠慢とも言えるかも??
もっとしがみついて原題ままの強烈なのをお願したかった。

本作、男性と女性で観た感想が異なるのか気になる。
カノン

カノン