MasaichiYaguchi

ローズの秘密の頁(ページ)のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.8
「マイ・レフトフット」「父の祈りを」のアイルランドの巨匠ジム・シェリダン監督が、ルーニー・マーラとヴァネッサ・レッドグレイヴW主演でアイルランドのセバスチャン・バリーの同名小説を映画化した本作は、壮大なスケールで描かれるミステリアスな純愛物語。
物語は、自らの赤ちゃんを殺した罪を負いながら、40年の長きに亘って精神病院に収容されている主人公ローザが、この病院の取り壊しに伴う転院で精神科医スティーブン・グリーンから再診を受けることから幕を開ける。
映画はグリーン医師の謎めいたローザへの聞き取りという形式で、約半世紀前の彼女の愛と孤独な老境にいる現在の彼女を対比させながらミステリアスに繰り広げられる。
彼女の謎めいた過去は、 彼女の昔語りと日記を綴った聖書によって紐解かれていく。
彼女が抱える謎、何故彼女は長きに亘って病院にいるのか、何故本名ではない「ローズ・マクナルティ」を名乗り続けるのか、何故秘かに聖書に日記を書き綴るのか、そして目撃者の供述もあるのに赤ちゃん殺しを否定し続けるのか?
映画には舞台となっている1940年代のアイルランドの状況が大きな影を落とす。
そこにはアイルランドとイギリスの対立、そして宗教上においても大多数がカトリック教徒であるアイルランドと、宗教改革以降はプロテスタントであるイギリスという違いも2国間の溝を深くしている。
そのような時代背景に加えて、男を魅了して止まないローズに対する嫉妬が、彼女の悲劇に拍車を掛けていく。
特に映画の後半で描かれる彼女を見舞う厄災には目を覆いたくなる。
終盤に向かうにつれて徐々に明かされるローズの過去の秘密。
そしてグリーン医師を含め我々も出会う衝撃の真実。
この衝撃の真実は我々の心を揺さぶり、胸も目頭も熱くさせます。