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ゴンドラのeyeのネタバレレビュー・内容・結末

ゴンドラ(1987年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

"ゴンドラ"(1987)

DVDやBlu-ray化はされないであろう作品(たぶん)

リバイバル上映を逃し続け
もうムリかと諦めてた

そんな2019年…ついに観た…

今から約30年前に公開されてるわけだけど、色んな困難があって

言葉に出来ない苦労が沢山あった様子

総制作費5000万のこの作品に対し
『商業的価値がない』・『劇場の風土に合わない』・『公開させる代わりに多額の興行保証金を納める』等々

困難の多い日本よりも先に海外での公開を行ない、高評価を得た

様々な紆余曲折を経て日本での公開に至る

そう考えると今ではクラウドファンディングがあるから共感してもらえれば実現できるし、届く人に届けられる

時代がようやく
追いついた作品とも言える

肝心の内容は

小学生の少女 かがり が恵まれない家庭環境の中で身体が大人になっていき、心の成長を描いている

ぶっきらぼうで不機嫌
居場所がなくて
心の拠り所を探し続けている

それが寂しさの裏返しでもある

片や大都市の中で窓拭き清掃用のゴンドラに乗って生きる良も閉塞感や景色の違和感を抱えて生きてる

内側の音は外側には聞こえないし
コンクリートの道路を行き交う車を見下ろす風景は大海原に見えている

そもそも1987年に寄稿された羽田さん同様、自分も"ゴンドラ"がビルのゴンドラとはイメージしていなかった…

かがりと良は偶然に窓越しに出会い一緒に少しの時を過ごす

何かが劇的に変わることもないし
母子の問題が解決するわけでもない

ただ両者が持っている
"心の空白"
を埋めていくために
必要なことが淡々と描かれる

今の時代の疎外感とは
また異なる雰囲気を感じつつ
時代が変わっても共通する部分もある

この映画の面白さは
2人のどちらにも入れ込ませないで

後半は感情的にならないように
中立的なバランスで成り立ってる

それは良のチカラが
どんどん抜けていく感じだったり

かがりが自然や人と触れ成長していくからかもしれないと思って観ていた

昔の父性に対し、新たな父性の描き方が良を通して受け取れる

沢山の困難や人々の努力と熱意を経て製作されたこの映画を観れてホントに良かったと思ってる

※舞台挨拶後、監督の伊藤智生さんが「2作目を撮るから!」と甲高に話していたので楽しみに待とうと思う
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