ぶみ

ギヴァー 記憶を注ぐ者のぶみのレビュー・感想・評価

ギヴァー 記憶を注ぐ者(2014年製作の映画)
3.0
ロイス・ローリーが上梓した同名児童文学を、フィリップ・ノイス監督、ジェフ・ブリッジス、メリル・ストリープ等の共演により映像化したSFドラマ。
完全に平等な世界を構築した近未来において、「ギヴァー(記憶を注ぐ者)」である賢者と、「レシーヴァー(記憶を受け継ぐ者)」に任命された青年等の姿を描く。
ギヴァーをブリッジス、レシーヴァーをブレントン・スウェイツ、コミュニティの主席長老をストリープが演じているほか、アレクサンダー・スカルスガルドやケイティ・ホームズが登場、またシーンは少ないものの、テイラー・スウィフトも出演と、何気に豪華なキャスト陣。
描かれる世界は、投薬によって感情が抑制され、職業の選択権も過去の記憶もないという、ある意味理想郷とも言える設定であり、その世界観はなかなか興味深い。
物語は、そんな世界でレシーヴァーに任命された青年が、ギヴァーから記憶を伝達されるにつれ、様々な感情が芽生えていく展開となっており、本作品のクレジットは知名度の高さからか、ギヴァーであるブリッジスと長老役のストリープが最初に並んでいるが、実質の主人公はレシーヴァーであるスウェイツ。
知らぬが仏とはよく言ったもので、感情を抑制され、それが当たり前だという世界には争いもなく、現実からすると奇妙な世界であるものの、それはそれで楽なのかもしれないと思わせてくれるものとなっている。
終盤、かなり走り気味となり、雑な面も見られるが、そこに目を瞑れば、理想とも言える世界の齟齬を堪能できる一作。

感情は考えるものじゃない、心で感じるものだ。
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