<概説>
近未来において生身の役者は用済みとなり、映画界はCGが支配することとなる。しかし科学はそこで歩みを止めることはなく、いつしか映画現実世界そのものも支配するように。うらぶれた老女優はその世界で何を思うのか。
<感想>
この世界を私は認めたくありません。
CGが発達することで映画製作は安易になっても、そこから進歩することは認められない。スキャニングした俳優のCGはCGでしかなく、それ以上が生まれようはずもありません。
『ダーク・ナイト』のヒース・レジャーがCGなら
『ゴッド・ファーザー』のアル・パチーノがCGなら
『シャイニング』のジャック・ニコルソンがCGなら
アメコミ史上最高のヴィランはおらず。マフィア映画史の頂点はおらず。ホラー界を震わせる怪人はおらず。
彼等は彼等のままであり、別人たる演技はあり得なかったでしょう。演技とは無形の概念を可視化するクリエイティブな活動であり、惰性による科学発展からソレが産まれるはずがないのです。
ましてバグで不自然な挙動をしたCGがオスカー賞?
笑止千万も程々にしていただきたい。
科学技術礼讃大いに結構。
しかしそれがアナログ技術を馬鹿にするためにあるならば、七人の侍がその喉元を掻っ捌いてくれることを期待します。