みんと

あやつり糸の世界のみんとのレビュー・感想・評価

あやつり糸の世界(1973年製作の映画)
3.8
ニュー・ジャーマン・シネマの鬼才R・W・ファスビンダー監督が、1970年代にいち早くバーチャルリアリティを題材に描いたSF超大作。(らしい)

コレはとんでもない映像体験。しかも意味不明。そして長い。何日かに分けてやっと観終えたけど、予想通りかなり映画上級者向け作品だと思う。

と言うか、理系脳をフル稼働した抜かりなさは迷路に入り込んで一向に出口が見つからない不安をも煽る。終始、左脳を働かせろ!と言われてるようだった。

鏡をふんだんに使った演出から受ける時空の歪みなんかはノーラン監督作品にも通じたりするのかな?作家性の強いSFという意味ではキューブリック監督作品にも連なるらしい。

登場する女性達は揃ってスラッと背が高く美しい。びっしりまつ毛に濃いアイシャドー。喜怒哀楽を見せない無表情さはお人形さんのようで不気味でもある。また、登場人物の顔を強引にズームアップする演出や不快さと紙一重の電子音も印象的だった。

理解と言う意味ではモヤモヤモヤモヤ...
但し、芸術作品として見ると、更には当時にしてはかなり時代の先取り感は見て取れる。

雰囲気も映像も音楽も、嫌いじゃないしむしろ好き。ならば理解を深めるためにもう1回観るかと言うと、、、無理!笑


偶~に若い頃のジャック・ニコルソン化する主人公クラウス・レヴィッチ の独特の魅力に最後まで引っ張られた印象。
みんと

みんと