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第三世代のharuのレビュー・感想・評価

第三世代(1979年製作の映画)
3.5
帽子を逮捕しないで!

1970年代ベルリン。確固たる理念を持って活動していた第一世代に比べ、仲間内で楽しくテロ活動に励む第三世代の者たち。目指すべき理想などない彼らは、資本家ルーツの誘拐事件を企てるが…

初ファスビンダーです。
「革命ウェーイ!」なパリピたちが、お上に利用される話。この作品に関して言えば、ブニュエルの「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」みたいな、全体のストーリーにそれほど意味はない会話ばかりで進行していくのに、なぜかつまらなくない不思議な感じでした。登場人物が多く、なかなか顔が覚えられない上に、変装したり偽名名乗ったり、ついでにうるさいしで、終盤ワケわからなくなりましたが、オープニングがオシャレで、終盤の仮装誘拐シーンはインパクト大です。「帽子を逮捕しないで!」は笑いました。
本来国家に物申す存在であるテロリストたちが、裏では国と繋がっていたり、利用されるという皮肉。「意志と表象としての世界」を合言葉に活動するお祭り世代のテロリストたちは、もはやテロ行為自体が目的となっており、その先には何もない。立派な大義は掲げずとも、常に事態だけは把握しとこーねという話…ですか?
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