「才人リプリー」(映画「太陽がいっぱい」の原作)の著者、パトリシア・ハイスミスが1950年代に、別名義で発表した小説の映画化。
名前を変えたのは、この小説が、当時タブーであった女性どうしの恋愛を扱ったものだからだ。
作品の舞台は小説と同じ1950年代のニューヨーク。ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラの女性どうしの「恋愛」はひたすら美しい。
それは監督のトッド・ヘインズが、ことさらセンセーショナルな表現に走ることなく、ただ「美しさ」だけに基点を置き、この作品を撮っているからだと思う。
ふたりのファッションもヘアスタイルも見事にマッチしている。そして、美しさゆえの儚さも感じる映画だ。