衣笠貞之助監督が初めてカンヌに出品した映画。本作は何も入賞できなかったが、翌年の「地獄門」(1954)でパルムドールに輝く。
奈良大仏建立をめぐって賛成派と反対派が対立する中、若き天才彫刻師(長谷川一夫)が抜擢される。反対派の妨害や情熱的な恋人(京マチ子)とのドラマを織り込みながら完成までを描く。。。
2023年元旦の一本目。何かを作り上げる映画が観たくてチョイス。シナリオが大作映画にありがちな大味になってしまい焦点がぼやけた印象。個人的には大仏建立そのものの苦労をもっと観たかった。奈良大仏の前に、紫香楽(しがらき、現在の滋賀県甲賀市)に大仏を作り始めて頓挫した史実は知らなかった。
衣笠監督は決して上出来とは言えない本作を経て、翌年にパルムドールを勝ち取った。トライしなければ何も始まらないのだ。
※「淀川長治の映画ベスト1000」に、本作は掲載されているが「地獄門」は掲載されていない。
※本作が出品された第6回カンヌ映画祭は「恐怖の報酬」(1952)がパルムドール受賞。他には「エル」(1952)「ぼくの伯父さんの休暇」(1953)などが出品されていた。