エクストリームマン

キングスマンのエクストリームマンのレビュー・感想・評価

キングスマン(2015年製作の映画)
4.8
またマシュー・ヴォーンがやってくれた!

待ちに待った日本公開。噂通りで期待通りの、いや、それ以上だった!往年のスパイ映画(に限らない映画全般)に多数言及&目配せしつつも、それ自体としてはオリジナルな魅力に溢れたスパイ&アクション&青春成長映画として完成している一作。コミックからキャラクターや展開、設定なども変えていて(同時進行で制作していたのでコミック版は「原作」ではない)、そこも非常に上手い。『キック・アス』で培ったノウハウが遺憾なく発揮されているのだろう。

ザ・英国紳士な(イメージの)コリン・ファースを主人公:エグジーの導き手である最高のスパイ:ハリー・ハート=ガラハドとしてキャスティングした時点でもうこの映画は勝ったも同然(何に)。本人がガッツリアクションやることを条件にしたキャスティングだったみたいだから、ある意味かなり冒険だけど、マシュー・ヴォーン的には面白くなるって確信あったんだろうし、現にコリン・ファースのアクションは凄かった。人間って数ヶ月トレーニングするとキングスマンになれるのか!?教会の場面は擬似的にCGで繋いでいるとかではなく、(最初にカット切れるところまでは)本当にワンカットで撮っているらしいので恐れ入る。今後はリーアム・ニーソンみたいになっていったりして……?常に紳士然とした雰囲気を纏いつつも華麗にアクションもキメてみせていたので、新しいタイプのアクションスターになれそう。

オーディションで選ばれたエグジー役:タロン・エガートンも絶妙なストリート感が良かったね。歩き方とか。あと、パルクールしたりアクションしたり、こっちもかなり頑張っていた。絶妙にスーツが似合わないところとかも素晴らしい。

今回の「映画みたいな」悪役:リッチモンド・ヴァレンタイン演じていたサミュエル・L・ジャクソンも良かった。狡猾さとマヌケなところが地続きになっていて、妙な凄味があったりなかったりなあの感じ。掌紋認証のところは音楽含めて最高だった。めちゃくちゃ笑った。

リッチモンドに付き従う最強の護衛:ガゼルの義足剣?アクションもフレッシュで面白い。コミックの方だとムキムキでスキンヘッド&サングラスの黒人男性だったから、ソフィア・ブテラ(ダンサー兼女優)に変えて映画的には正解。

コミックの方にあった強い政治性を弱めつつ(排してはいない)エンターテイメントとして最大限面白くなるようにブラッシュアップされていて、両方見比べたからこそ気づけることも色々あって、そこがまた面白い。スパイ特有のガジェットが楽しいし、アクションは本当に凄くて面白かった。仕込まれてるネタは結構気づけた方だと思うけど、マニアックなところでまだまだ気付けていないところもありそうだから、また観に行くしかないな!