ブタブタ

ヘイトフル・エイトのブタブタのネタバレレビュー・内容・結末

ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

舞台を思わせる会話劇・台詞劇キャラクター同士の掛け合い、他の監督ならあの第一章・第二章は削って馬車が山荘にやって来る所からきっと始まるのだろうなと思いました。
無駄と思う程の関係ない話や冗談や薀蓄、普通は時間が限られた映画では削る筈の1人1人のキャラクター紹介やエピソード等、開始から中々山荘に辿り着かないあたりでやっぱりこれはタランティーノ映画なのだなと感じました。

猛吹雪の中の山荘と言うクローズドサークルで起きる殺人、犯人を探偵(役)が推理と理詰めで追い込んでいく所は非常にオーソドックスなミステリーですし、途中時間を巻き戻したり最終章前に「答え」を提示してからカタストロフィに流れ込む所もクライマックスの為に「犯人はこいつら全員、殺ってよし」とちゃんと宣言してる様な親切な作りと言いますか。

最初の方で意味あり気に登場した「リンカーンの手紙」ですが自分はリンカーンの手紙と言うマクガフィンを実は全員が狙っている、首吊り人も賞金稼ぎも保安官も賞金首も全員身分や正体を偽っていて、あの手紙を手に入れる為に集まったのだと思っていました。

『イングロリアス・バスターズ』はヒトラー暗殺が成功してしまう歴史改変SF、平行世界のお話しとも言えてヘイトフル~もその様なあっと驚く結末があると途中迄は思っていました。
『JOJO第七部』はキリストの「聖なる遺骸」を集め、それを手にした者は永遠の王国を築けると言う話しでしたがヘイトフル~も最初のキリストの十字架やリンカーンの手紙と言うアイテム、南北戦争直後の世界と言う事でアメリカの歴史改変的な話しになるのではと初めの時点では思っていました。

~以下妄想のヘイトフル・エイト~
南北戦争終結後も各地で南軍による抵抗は続いている。
リンカーン大統領の奴隷解放宣言は実は偽者による物(又は取消されたりしてる)でそれを証明する文書のありかを示しているのが「リンカーンの手紙」に隠された暗号文。
北軍はそれらを集めて抹消しようとしていて南軍はそれを発表しようとしている。
ジョン・ルースとドメルクは実は政府の諜報員で他のキャラクターもそれぞれ南軍北軍側の人間でリンカーンの手紙を奪おうとしている。
手紙を持ってるウォーレンだけがそれを知らない…
最後はリンカーンの手紙によって歴史が改変されアメリカ合衆国ではなくアメリカ連合国が誕生する。
と思ったのですが全然違いました( 笑 )

撮影中の裏話としてドメルクがギターを弾くシーンで、あのギターは撮影の為に借りてきた本物のあの時代の何百万もするギターでルースが叩き壊す時に当然ダミーのギターと取替えて撮影する筈が、カート・ラッセルにちゃんと伝わっておらず何百万のギターを叩き壊してしまったとか。
それ迄クールでふてぶてしかったドメルクがあのシーンだけ「オゥ!?オォォー!!」と明らかに芝居のテンションが違っていたのでジェニファ・ジェイソン・リーは素で驚いていたんでしょうね。

「山荘」「地下室」「血みどろの戦い」と3つ揃うと『遊星からの物体X』と言うより『死霊のはらわた』を思わせました。

ラストは1人生き残ったマニックスが吹雪が止んで外に出るとドメルクが言った15人の殺し屋が1列に並んでて撃ち殺されるとか、そんなシーンがもう一つあっても良かったかなと思いました。
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