いののん

ヘイトフル・エイトのいののんのレビュー・感想・評価

ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)
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殺しは静かには、やって来ない


仕事で疲れ果てた先週の平日は毎晩、この映画の冒頭、黄色いクレジットとモリコーネ大先生の音楽に包まれ、それだけで満足して眠りにつきました。あー、好み。もったいなくて、先に進めない。


タランティーノ監督作品、観るの初めて。恥ずかちい。もじもじ。だって、怖いと思ってたんだもん。


初めて観たくせに、こんな大口をたたいていいのか、いや、きっといいはずはない。でも、自信はまったくないけど、言ってしまいたい。
タランティーノ監督はきっと、気さくなおばちゃんであり、純真無垢な少女でもある。


まず、おばちゃん性。これは男おばさんと言い換えてもいい。
よく喋る。隠さず、みせてくれる。「あら、○○さん、実はこうだったのよ~」「いや、△△さん、その前にはね、こんなことがあったのよ~」「あら、□□さん、その前の前にはね~」「あら、××さん、そんなことより、家政婦は見たの市川房枝さんじゃなくって、市原悦子さんのご冥福をお祈りする方が大切だわよね~」「あら、あなた、こんなところでふざけた会話したら不謹慎じゃありませんこと~」(以下、果てしなく続く)

きいてないのに教えてくれる。大変に気さく。
こんな喋ってたら隙が生じて、やられてしまうのではないだろうか。

否! 大丈夫です(多分)!

アタシは知っているのだ。
この世がこれ以上混乱しないように、この世が少しでもまともになるように、人知れず(ご本人もそうとは気づかないまま)重大な責務を担ってくれているのは、実はおばちゃん(あるいは男おばさん)だということを!!!


そして、純真無垢な少女性。
リンカーンのお手紙に後光が射したり、ミニーのお店の窓際に、光が射して家の中にも雪が舞い降りていたり。隙間から入ってくる雪の、(猛吹雪なのに)絵本のような無垢な愛らしさ。机から魔法のような光が立ち上がっていたりもする。うわあ-っ、可愛いっ♡
そう、少女性は細部に宿るのだ。



おばちゃん性(あるいは男おばさん性)と少女性。この2つと、マカロニとの相性は、いかがなものか。
あらあらどうして!! 意外とあう!! この組合せ、いけるんやないかい! 私が保証するのであるからして、間違いないのさっw!?(何よりそれがいちばん不安)



そんなこんなで、タランティーノさんの映画と、これからおつきあいしていきたいと思います。これからどうぞよろしくお願い致します!



*ドメルグ、めっちゃ好き!もし、ラピュタが実写化されたら、海賊の女船長ドーラは彼女にやっていただきたいっ!(今、あの笑い方、習得中)




【追記①】 2020年8月
このレビューを書いたことをきっかけに、皆様からタランティーノのオススメ作品をいくつも教えていただき、今作を含めて計13作品を視聴しました。


【追記②】 2024年2月再鑑賞
タランティーノ監督作品初鑑賞がこの映画だった(2019年1月)。その時には、あの人もこの人も出ていたことには全く気づいていなかった。今、再鑑賞してみると、いろいろと感慨深くなる。それから、最初に「The Weinstein Company」って出てくるとやっぱりちょっと心のなかがざわついてしまったりもする
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