すずき

ゴジラ キング・オブ・モンスターズのすずきのレビュー・感想・評価

4.5
ゴジラとムートーの戦いから五年後。
怪獣の存在は世界は衝撃を与え、秘密研究機関モナークはその責任を問われていた。
そんな中、モナーク研究員のエマとその娘マディソンは、怪獣と交信出来る装置「オルカ」の実験中、謎のテロリスト達に装置と共に拉致されてしまう。
眠りにつく怪獣たちを目覚めさせる危険な装置であるオルカ、その悪用を危惧したモナークのメンバーと、エマの別居中の夫マークは、テロリストの足取りを追う。
そんな彼らの前に、再びゴジラが姿をあらわす…

前作ギャレス・エドワーズ監督版「ゴジラ」、同じモンスターバースシリーズの「キングコング:髑髏島の巨神」、あと過去の「ゴジラ」シリーズ未見でも問題なく十分に楽しめる。
でも、見ておくともっと楽しめるよ!

前作ギャレゴジでは、人間ドラマがメインだったように感じたが、今作のメインはあくまで怪獣!怪獣が主人公です!ってぐらいドッカンドッカン暴れてくれる。

じゃあ人間ドラマは希薄なのか、っていうと、それがそうでもなく、これも前作より面白かった。
最初、エマが怪獣との共存派、マークは怪獣抹殺派という風に描かれるんだけど、話が進むに連れそこに捻りが加わってくるのが良かった。
あと何と言っても、渡辺謙演じる芹沢猪四郎博士!
前作では芹沢博士あんまし活躍しなかったし、渡辺謙自身もなーんかハリウッドでは微妙な役ばっかり貰ってるなー、って印象だったけど、今作では存在感バリバリ、彼の見せ場も十二分にあるぞ。
特に、初代「ゴジラ」では、ゴジラを殺すため、オキシジェン・デストロイヤーと共に海底へと潜った博士が、今作ではそれと全く逆で、ゴジラを救うために、彼のエネルギー源である核物質を持って海底へと赴く展開は熱くなる!
そしてゴジラと対峙した芹沢博士が言ったセリフ、そこで日本語を持ってくるかぁ~、って感じで震える!
脚本ではそこは英語だったそうだが、日本語での演技を望んだそうな。ありがとう渡辺謙!ありがとう監督!

そして我らが主人公、ゴジラとその他怪獣たち!
ゴジラの登場シーンでは、あの例の曲が流れる演出に魂が揺さぶられる!
ある特定の人たちにとっては、「スター・ウォーズ」の例の曲、ドラゴンクエストの例の曲と同じうらい、遺伝子レベルにこびり付いてる音楽。
やっぱりあの音楽が無くちゃ、ゴジラとは言えないよね。ありがとう、監督!ありがとう伊福部昭!

怪獣プロレスの難点を挙げるなら、画面の暗さ。
ギドラが現れるとなんか天気が曇ってきて、細部まではっきりと映らないのさねぇ。
その点は、最後までしっかりと明るい画面でアクションを魅せた「キングコング髑髏島~」の方が良かったかな。
というわけで、ゴジラ&日本人ボーナスを抜きにすると、個人的に作品としては「キングコング髑髏島~」の方が評価は上だ。

あと、メイン4体以外にも沢山の怪獣が登場する、との触れ込みだったが、その情報には期待しないこと。
劇中で17体の怪獣が世界に出現、とアナウンスされるだけで、マトモに画面に映るのは、前作に出たムートーと、マンモス風怪獣ぐらい。
それも画面にチラッと映る程度で、怪獣プロレスは無しなのだ。

日本のゴジラ(初代)は反核のメッセージもあるように思えたが、そこはアメリカ、ゴジラを助ける為に核兵器を利用する展開にしたりと、そこら辺は薄め。
しかし、人類以上の力を持つ巨大生物=大自然=(日本的な意味での)神という「もののけ姫」的構図で環境問題へのメッセージへとアップデートしている。
まあテーマなんて建前、楽しい映画が見れたら何でも良いんですけどね!

最後にラドンの事にも触れておく。
監督がラドン好きとの事で、結構優遇されてるのかな、と鑑賞前は思っていた。
戦闘機とのドッグファイトとや、ラドンの衝撃波で破壊される街等の描写は、スゲーカッコよかった。画面も明るいし。(ラドンも「そうだそうだ!」と言っています)
しかしその後の扱いが、完全にネタキャラのそれ(笑
一言で言うなら、「ゴマすりクソバード」、それに尽きる。特にラスト、お前どの面下げて(以下略