Yui

ヒラリー・スワンク ライフのYuiのレビュー・感想・評価

4.0
いじめに遭っている息子の為にアフリカへ長期旅行に出た母子と、孤児院の教師になる為に老年の母を残しアフリカ旅立った青年。しかし二人の息子たちはマラリアで命を落としてしまう。偶然出会った息子を亡くした二人の母親が、マラリアにより多くの子供の命が失われている現状を変えようと奮闘した実話映画。


美しく雄大でキラキラしたアフリカの大地での生活と、息子を失った後のアフリカの悲惨な医療現場の状況の対比がリアルさを生んでいて、とても考えさせられました。

「マラリアで命を失う子供を無くそう」この一つのテーマに尽きる作品なんだけど、マラリアは、予防も出来るし、死を回避する事も可能であるということ。そこが重要な部分だなと思った。
それなのに今も年間40万人以上が命を落としている現状。なんで?と思ったけど、マラリアが撲滅状況にある先進国では関心が薄い、予算を回せないという事が現実にある事も分かった。

「母親でいる事をやめられないの。子供のいない母親になにが出来るの」というセリフが印象的だったけど、子供を失った二人の母親とその夫や家族の葛藤や悲しみがとても伝わってくる描写が多くて、90分という短い時間に、明確なメッセージがギュッと詰まっていて、今、自分に何が出来るかを前向きに考えさせてくれる良作でした。ラストの演説には本当に胸を打たれ、私も何かしたい!という気持ちにさせられます。

マラリアによる死者は、第二次大戦以降の戦争やテロ等で亡くなった人達の2倍以上の人数になるのだと言う。衝撃的な人数だったけど、1人の命がコーヒー3杯分の金額で救えるという事も知れたので、今後マラリアやその他の感染症などの募金には積極的に参加したいと思った。今の私に出来る事はそのくらいしかないけど、やらないよりはやっていきたい。

重いストーリーというよりは、重いながらも温かさや前向きさのあるストーリー。めちゃくちゃ泣いてしまったのですが、決して暗くなく観て良かった作品です。リチャード・カーティスが脚本だったので選んだ本作でしたが、やっぱり外れなかったな。リチャード・カーティスの脚本好きだ~。

2014年11月にミヤンマーで開催された第9回東アジア首脳会議では、マラリアの無いアジア太平洋を2030年までに実現することに合意したという記事も今回読んで知りました。
2030年と考えると長い気もするけど、関心を持って見届けたい一件です。


2021-319
Yui

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