Yui

ホロコーストの罪人のYuiのレビュー・感想・評価

ホロコーストの罪人(2020年製作の映画)
3.8
2012年ノルウェーが、第二次世界大戦時にホロコーストに加担し、自国のユダヤ人をアウシュヴィッツに強制移送した事を発表した。当時のノルウェーに住むブラウデ一家を中心に描いた実話映画。

分かってて観ているけど、しんどい…辛い…。
結末も分かっているし、やはりずしんと来る。

当時のノルウェーはドイツ軍によって占領されて、ユダヤ人は差別と迫害の対象だったけれど、ユダヤ人は人口の0.1%にも満たない1,600人程しか住んでいなかったらしい。
そこで起こったユダヤ人狩りは、ナチスドイツが行ったんじゃなくて、ノルウェーの国家警察が行っていた。自国民を裏切り、売ったという事実…。

ある日突然家族(父親と息子三人)が連れて行かれて、会えないまま、母親とお嫁さん(アーリア人)で家族を心配しながら、明日に怯えて生活をする…。
家族の誰の立場になっても感情移入してしまって、とにかく辛かった。
父親と三人の息子は、強制労働を強いられるんだけど、それも辛かったのに、その後に引き離される事になって…強制労働がマシだったかのような錯覚をしてしまったよ。

観ていて、絶望や恐怖や理不尽さ、悲しみや怒りで胸が押しつぶされるような感覚にしかならないのに、家族でいられたのは良かったとか、最後に一目会えて良かったとか、命があって良かったとか、少しでも幸せを探そう探そうとしてしまうのは、人間の本能なのかな。

ノルウェーが自国の罪を公にした事は、必要な事だったと思うし、この恐ろしい出来事を風化させてはいけない為にもこうやって映画にしてくれる人がいるからこそ、亡くなった方々を偲んで、歴史に目を向けて学ぶ事が出来るんだけど、未だにユダヤ人という概念が納得行かないんだけど、本作の場合、ノルウェー人じゃんと思ってしまうんだよね。
ユダヤ教の人がユダヤ人なんでしょ?なんで宗教と人種がごっちゃになるの?ユダヤ教を信仰してるノルウェー人なんじゃないのかな…?ユダヤ教辞めれないの?親やその上がユダヤ教だったら子もユダヤ人になってしまうの?
でも、見た目でも何人かなんて分からないのにここまでの事が起こるって事は、信仰とか何人だとかが、例えば性別や年齢のように人を区別する為の重要な当たり前の事になっていたって事なのかなぁ。
日本人だから分かりにくいのかな?解せない。

ユダヤ人を迫害、虐殺するなんて本当に恐ろしく極悪非道であり、あってはならない事というのは大前提なんだけど、ノルウェー人が極悪非道の悪人だったのかと言われると、そこもまた白黒は付けられない気がする。
国って人で、人々な訳で、ユダヤ人をアウシュヴィッツに送るという命令に背けば、警察の人達は殺される訳でしょ?生きるか死ぬか目の前に突きつけられたら、綺麗事を言ってられないのは理解出来るし、自分がやらずに殺されても、次の人がやるだけ…。
もちろんその人が悪くない訳ではないんだけど、個人を責めるのは乱暴な気がする…。

じゃあ一体、本作の場合、何を誰を責めればいいの…?というとまた難しいんだけど…。
個人を責めるのではなく、史実をただ伝えて欲しいなとは思った。後はこちらが考えるよと。
とはいえ、感情移入しやすい方が自分に引き寄せて考えられるんだよなー。

でも、ホロコーストに限らず、差別や迫害や戦争も、国によって、個人によって、それぞれの想いや立場や状況があった訳で。
決して、許されない事だし、忘れたらいけないんだけど、今を生きる私たちに出来る事は、二度と同じことをしない事。時代もだいぶ変わったんだから、出来るはず。と思うのに、戦争起こしてる人がいるけど…。信じられない。
自分が考えられる事を考えて、出来る事をしよう。


原題はノルウェー語で『最大の犯罪』
英題は『裏切る』
『ホロコーストの罪人』は、何だかピンと来ない邦題でしたね。



スターチャンネルEX、あと3本くらい観たいのがあったんだけど、今日で終わりなのでまた次回ですね😌✨あと1本観られるかどうかー!
また観たい作品溜めておこう。

2024-064
Yui

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