天下の超かぼちゃ王大将軍

ベン・ハーの天下の超かぼちゃ王大将軍のレビュー・感想・評価

ベン・ハー(2016年製作の映画)
2.5
「ウォンテッドとは一体なんだったのか」

ユダヤ人の富裕層、ジュダ・ベン・ハーは、
義兄弟でローマ軍将校となったメッサラと衝突。
母と妹とともに、無実の罪を着せられる。
ジュダはガレー船送りとなり、5年を過ごす。
ガレー船は戦いのさなか転覆。
船から投げ出されたジュダは、
戦車(チャリオッド)レースの興行主?であるイルデリムに拾われる。
やがて故郷に戻ったジュダは、母と妹の不幸な顛末を知り、
メッサラに対する復讐心を燃やす。
それを見たイルデリムは、戦車レースなら、なんでもアリじゃね?
とジュダを戦車レースに参加させる。
そこで、メッサラをぶちのめそうぜ、という作戦だ。
そのレースでテンヤワンヤがあるが、
最後にいいとこどりをしたのは意外な人物だった・・・。

■「ティムール・ベクマンベトフ監督への期待、潰える」

「ウォンテッド」を見てから、もう10年近くなるってことか・・・。
あの時抱いた期待は・・・。

ティムール・ベクマンベトフ監督の最新作は、
かなり昔に見たことあるけど、全然記憶にない名作ベン・ハーのリメイク。

「リンカーン/秘密の書」の後、ちょっと才能に懐疑的ではあったけど、
やっぱ「ウォンテッド」のイメージが強くて、ずっと期待してた。

本作も、まぁリンカーンくらいだったらアリかと思っていた。

だが、ふたを開けてみれば・・・なぜこんなに酷いのか・・・。

とにかく序盤のテンポの悪さに尽きる。

もともとテンポのいい監督ではなくて、
ただ、映像センスが良く、ハリウッド進出作のウォンテッドでは、
周りのスタッフのサポートもあってか、映像とテンポがいい具合になってた。

「リンカーン/秘密の書」でも、CG多用した映像が微妙過ぎるだけで、
テンポ自体はそんなに悪くなかったと思ってる。

しかし、本作は一転、特に序盤のテンポが圧倒的に悪い。
なんやろ。
ところどころ、無用なシーンが尺とってる気がする。
全体の中で重要なシーンだからじっくりというわけでもなく、
ただ、ダラダラと面白くもない話を悪いテンポでで展開する序盤。

もうこの時点で、ティムール・ベクマンベトフ監督はもう終わったと思った。

独特の映像センスも特になく、むしろ素人の演劇みたいな感じの映像が続く。

まぁ構成が最悪という話もあるのかもしれん。

結局、頭からお尻まで、一貫した軸がなんなのかが分からん。

ジュダとメッサラの関係が軸なんやろけど、
でも二人の関係の掘り下げは中途半端に、ジュダはジュダ、
メッサラはメッサラで個別に糞みたいなエピソード入れるだけでさ。

前半はほんと特筆すべきところが無く、
監督のらしさである映像もショボイし、完全なるガッカリですわ。

■「登場人物、全員死ねばいいのにと思う」

ジュダがたいがいウンコ野郎というのが致命的。

自業自得というか、自業他得というか、
巻き込んでるやんと。

あれでメッサラが悪いってのはどうなの?
お前は死んだ方がいいんじゃないの?っ思う。

メッサラも、クズになってるんやったら、クズになり切れや。
エピソード的に、「ほかのローマ人とは違いますよ」的なの最初に入れてくるけど、いらん。
こいつ、クズになりよったで!こいつ、憎いで!
って思わせておいてからのイイヤツの方が、割とメッサラの株が上がる。
けど、本作の場合は逆で、イイヤツ風を装ってたけど、
いつの間にかクズになってる的なね。

他のキャラも、いらんことばっかしてさ、
自己主張激しすぎやろと。

全員が全員、お前は死んでもええって理由がある分、
復讐劇もどーでもいい感じが。

■「後半の持ち直し・・・と思ってラストがウンコ」

ガレー船くらいから一瞬持ち直すんやけど、
なんやろな、一番の見せどころのはずの戦車レースがさ、
唐突過ぎてさ。

そのうえ、レース内容も特に面白みも無くてさ。
展開の変わりが分かり辛いよね、あのレース。

けどまぁやっと持ち直した感じはあって、
あれで終わっておけばいいものの・・・。

突如のイエス!高○クリニック!
なんだよあの茶番ラストさ。

結局、この映画なんだったのか全く分からんのよね。

ほんと残念。

ティムール・ベクマンベトフ監督を10年近く好きな監督の一人に挙げてたけど、
もう無理だと感じたので、今後はNG監督かな。
いや、もう一作だけ様子を見よう。