ただのすず

ババドック 暗闇の魔物のただのすずのレビュー・感想・評価

ババドック 暗闇の魔物(2014年製作の映画)
4.2
否定をすればするほど大きくなる。
自分の内なる暗闇と戦うホラー。

息子をもつシングルマザーのアメリア
ある時、見覚えのない『ババドック』という不気味な絵本を見つける、
そこから徐々に追い詰められていく。

スプラッター、グロテスクな描写は少なく、
視覚、心理的に怖がらせるホラーで好み。
とにかく脚本が上手、そしてその脚本に完璧に応えている母子、
エッシー・デイヴィスとノア・ワイズマンが凄い。

育児ノイローゼの母親の目の据わった表情が演技とは思えない。
子供が母親の不安を敏感に感じ取るので、
愛情をもっと貰おうとして奇行に走り、ヒステリーに声を荒げる、
その様子を見て距離をとる周囲、ますます孤立していくのが悪循環でリアル。

眠ると怪物が現れるので、とにかく眠れず、
そうすると不眠に陥りバランスが崩れ金縛りが起き、ますます怪物が現れる、とにかく怖い。
何度も逃げろー!と念じたけど、(自分の内からは)逃げても意味ないよ!
という息子のセリフで、なんてお利口なの!と感動してしまった。

ホラーはどこにでも転がっていて、誰でも襲われる可能性のあるものが一番怖い。
退治するのではなく飼い慣らすというラストも上手。

オーストラリアの女性監督とのこと、他にも作品を撮られたら是非観たい。