もりひさ

あと1センチの恋のもりひさのレビュー・感想・評価

あと1センチの恋(2014年製作の映画)
3.8
後悔しない生き方。
しようと思ってもできるわけではない。
過去を悔やみ、最低最悪だと嘆いている現在も時が経てば、なんであんなことで悩んでいたのだろうと、アホらしくなって笑っているかもしれない。
もちろんその逆も然りで、当時よりももっとひどい状況になってしまって、あの頃に戻ってやりなおしたいと頭を抱えているかもしれない。
とにかく、生ききってみないと何事もわからない。

予言の自己成就という言葉がある。

予言の自己成就は心理学用語で、「未来はこうなる」と自分で予言すると、無意識のうちにその通りの現実を歩むことになる、という心理効果を指す。ネガティブなことを予言すれば無自覚のうちにネガティブな現実を歩み、ポジティブなことを予言すれば無自覚のうちにポジティブな現実を歩んでいく。

このままだと未来はない。現実的な未来というやつだ。自分だけの人生ではない。
だからこうすれば、未来はちょっとこうなるはずだ。周りの人たちも幸せにできるに違いない。
もっとシンプルに考えて、もっとシンプルに行動して、、、

それでもやはり後悔する。うまくいかない。こんなはずじゃなかったのに。いったいどこで間違えたのか?
後ろを振り返ってみると、何か書物を一心不乱に読んでいる自分の姿がそこにある。

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よくあのころこうしてたらよかったのに、とか言うけど、それはないんや。
勉強したいという意識はあっても、勉強できなかったから勉強しなかったんであって、自分の生きてきた来し方って必然の集積なんだ ー 中島らも

時間の一点のただなかには、その現在だけではなく過去も未来もある ー 松浦寿輝
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再び前を向く。
いまのこの現在が、過去も未来も含んだ必然の集積ならば、選択していくしかない。無意識のうちに心の穴を埋めるだけの愚行を犯すかもしれない。それでも、足りない至らない頭で考え得るすべての中から選んで、やっていくしかない。

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俺の選択も、誰かから見れば、間違っているのかもしれない。
人生は選択の連続。最善を願い選択しようとも、誰かを傷つけ、自らも傷つき、後悔するかもしれない。
逆に得られた幸福を失うまいと、次に訪れる選択を恐れるかもしれない。それでも永遠に選び続けるんだ。
だから願わくば、数多ある選択の先の未来が、、(KAITO「青のフラッグ」から引用)
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どうか笑顔で溢れたものでありますようにと、願わずにはいられない。
そう思わせてくれた素敵な映画でした(主人公たちやその周りの人たちの、要所要所出てくる、違和感のあるセリフやら行動やらを完全無視したのなら。まぁでも、あえてリアルさを追求したものであればうなずけるかな、、、お父様は好きだけど)。
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