原田監督も『クライマーズ・ハイ』、『わが母の記』ときて、その次が『RETURN』という、ファミスタ'87版「すこつと」のSFFぐらいの落ち方(※僕の中での落差が激しい事の最大級表現です)だったんで、これもちょっと軽い感じノリの、「縁切どうでしょう」風な映画だと舐めくさってた訳ですけどもね。
「離縁したい女性が寺に駆け込んだら保護される」という、領域としての扱いが今でいう大使館のような感じなのはタイトルからして分かるのですが、まさかの「追っ手がいる際は草履を投げ込んだり、かんざしが門に刺さっても可」という「なんだその公園の子供遊びルールみたいなのは!」的な事がまかり通る謎の江戸システム。
恐るべし縁切寺。恐るべし江戸時代。
面白い。
それでもやはり縁切寺の話なのでノホホンとした作風なんだと思っていたら、適度に立ち回りあり、陰謀あり、密偵に対して対策まで講じる場面ありと、ある意味「緩やかな、離縁主体の大江戸捜査網」みたいな映画ですよ。
というか縁切寺の話でここまで色々盛り込めるのはある意味凄い。
「涙あり笑いあり」とはよく使われる宣伝文句ですが、この映画は少なくとも前置きにそうあっても許せます。
満島ひかりちゃんと戸田恵梨香ちゃんの最後のシーンなどでは、「まさかお前こんな話で涙腺緩もうってんじゃないだろうな!」と自分にツッコミ入れた始末。
邦画が苦手だったり、大泉洋くんが好きでなくてもコレは鑑賞価値のある作品だと思いますええ。